タイトルの「Fighter」に込めた思いとは?
タイトルの「Fighter」は、文字通りの意味です。ジナの波乱万丈の人生と、あきらめないことから生まれる尊厳を表現しています。第一稿からずっと変わっていません。彼女の闘いは、世界に対する闘いであると同時に、自分自身に対する闘いでもあるのです。
ボクシングをテーマにしたのはなぜですか?
フランスでは、受刑者に「リハビリテーション」の一環としてボクシングを勧めています。言い換えれば、それは手段として使うのではなく、暴力をコントロールする方法を学ばせるのです。手しか使わないというルールは、他の種類の暴力による感情に対処するのに役立ちます。映画の中でテスが言っているように、ボクシングはスポーツであり、一般的には「自分との戦い」と言われます。最終的には自分自身との戦いであり、世の中に打ちのめされても自分自身で立ち上がらなければなりません。周りの人が応援してくれたとしても立ち上がるのは自分です。だから、ボクシングには強い意志とマインドコントロールが必要なのです。そして、リング上のボクサーと私たちの世界は重なっていると思いました。このようにして、ボクシングが映画のメタファーになったのです。
ジナにとっての「韓国」とはなんでしょうか?
北朝鮮の脱北者の多くは、言葉が同じなのでほとんどが韓国にやって来ます。彼らは韓国を "エルドラド "だと思う一方で、現実は決してバラ色ではないことも知っている。それを知った上で、まだ希望を持っているのです。その希望を実現するための闘いの場が、韓国なのです。人は誰でも夢や目標を持ち、それを実現したいと願っている。しかし、その希望が打ち砕かれたときに感じる絶望は、何よりも巨大で、切実で、暗いものです。残念ながら、私たちは再び立ち上がって、もう一度闘わなければなりません。でもたった一人で闘うのは大変なことです。勇気が出ない。結局、些細なことであろうと、人に助けてもらうことが必要なのです。私も釜山を離れてフランスという異国の地で生活したとき、自分の希望を現実にするために闘いました。韓国に帰ってもまだ終わっていません。ジナのセリフのように、私も何度も負けて、何度も立ち上がってきました。そうやって世界や自分自身と闘い続けていると、あきらめるよりも、あきらめないという気持ちが強くなります。
観客へメッセージをお願いします。
この映画は、私がこの10年間取り組んできたテーマの結末に向かおうとする作品です。私だけでなく、製作会社、撮影スタッフ、俳優たちの前向きな強い意志によって生み出されました。短い期間ではありましたが、とても楽しく、嬉しいものでした。お互いに尊敬し合い、苦難を共に乗り越えてきた大切な時間です。映画が観客と向き合うとき、不安と期待が同居します。何よりも観客の皆さんにジナの物語がしっかりと伝われば幸いです。この映画は観客に親しみやすいように作られています。随所にメタファーが使われていますが理解しようとしなくても、それだけで見たり聞いたりできる映画です。この映画を見た後は、ジナを応援したくなるかもしれません。そうなればいいなと思っています。